川越市および近隣市町の農業は、東京という大消費地に近く稲作および野菜、花きの栽培、
出荷が盛んです。
しかし都市近郊農地の宅地化の進展、農業従事者の高齢化、後継者の不足、耕作放棄地
の増大、海外産農産物との競争激化など、農業を取り巻く環境は厳しいものがあります。
そこで農業経営の改善、拡大、発展のために農業経営を法人化する動きがあります。
法人化することにより、次のようなメリットが生まれます。
ア、家計と農業経営の会計が分離され、経営者としての意識が高まります。
イ、経営状況が明確になるので経営改善計画が立てやすくなります。
ウ、出荷先、取引先および金融機関への信用力が高まります。
エ、農地を新たに取得したり借り入れたりして、規模拡大を図ることができます。
オ、雇用保険等社会保険が適用され、給与・手当が支給されるなど、従業員の待遇改善が
図られるので、やる気のある人材の確保、後継者の確保が容易になります。
カ、農業生産の計画化、経営改善、規模拡大を進めることができ、後継者への事業承継を
円滑に行うことができます。
キ、地区の農家が集まって法人化する場合、地区の耕作放棄地の利活用、生産量増大、
産地化・ブランド化等、地区の活性化を図ることができます。
一方法人化することは設立費用を要するとともに、次のような義務も生じ負担が増えます。
ア、複式簿記による会計記帳、決算を行う必要があります。 そして法人としての税申告
を行う必要があります。
イ、雇用保険等各種社会保険に加入する必要があります。
ウ、毎事業年度の終了後3カ月以内に、事業の状況等を農業委員会に報告する必要があり
ます。(農業生産法人の場合)
農地の権利を取得し(所有、貸借)、農地を利用して耕作し、作物を出荷・販売する法人は、
農地の権利取得についての許可を農業委員会から得て、農業生産法人(農地法上)になり
ます。
農業生産法人となるためには、主たる事業が農業であること、構成員(株主、組合員)は、
農地の提供者であること、年間150日以上の従事者等であること、業務執行役員(取締
役、理事)の半数は、農業に常時従事すること等が必要です。
農業生産法人となる法人は、会社法に基づいて設立される法人(株式会社など)と、農業
協同組合法に基づいて設立される農事組合法人があります。
法人化の目的、将来の事業範囲等を検討してどちらかを選択します。
株式会社は、株主1人以上、取締役1人以上で設立でき、農業の経営を行いつつ、事業の
多角化を図ろうとする場合に適します。
農事組合法人は、組合員3人以上、理事1人以上で設立でき、行いうる事業は農業の経営
と付帯する事業に限定されます。 また組合員以外の雇用労働力は、全体の2/3以下
であることが必要です。
農業を経営するために必要な農地を、貸借のみによって利用する場合は、農業生産法人
以外の農業法人として、条件が少し緩和されます。
株式会社あるいは農事組合法人を設立して、農業生産法人等として事業を展開しようと
する場合は、当事務所にお問合せ・ご相談下さい。